ミニサイドテーブルに込められた、変わらない工夫
2026.11.0250年前のアイデアが、令和の今も新しい。
「面白いですね!」
「これ、こんなにコンパクトにたためるんですか?」
展示会で当社の「ミニサイドテーブル」をご紹介すると、そんな嬉しいお声をいただくことがあります。
高さが変えられる。天板の角度も変えられる。そして、小さく折りたためる。
実際に動かしてみると、その仕組みに驚いていただけることも少なくありません。
けれど実は、この製品の基本構造が生まれたのは、今から50年以上も前のことなのです。


製図台から生まれた、昭和50年のアイデア
コムラ製作所が「ミニテーブル」を発売したのは、昭和50年(1975年)2月。
その誕生には、当社が長年培ってきた製図機器の技術が深く関わっています。
当社は1961年から製図台の生産に携わり、その後、製図機器の開発・製造を手掛けてきました。
製図台には、作業する人の姿勢や用途に合わせて、高さや天板の角度を変えられる仕組みがあります。

「この仕組みを、もっと身近なところで活用できないだろうか?」
そんな発想から、製図台の構造や仕組みをヒントに、高さや角度を簡単に変えられる便利な「アシスタントテーブル」として開発されたのが、ミニテーブルです。
まだパソコンやタブレットが一般家庭に普及するずっと前の時代。
それでも、使う人や使う場所に合わせて形を変えられるという考え方は、今にも通じるものでした。
それから50年以上。
細かな部品の素材や形状などは変更してきましたが、基本的な構造は当時から変わっていません。
そして現在も、ミニテーブルは販売を続けています。
半世紀以上前に考えられた仕組みが、令和の今でも「新しい」「面白い」と評価していただける。
モノづくりに携わる者として、これほど嬉しいことはありません。
50年間、さまざまな現場で活躍
このミニテーブルは、これまで実にさまざまな場所で使われてきました。
病院や福祉施設、企業のオフィス、工場、教育現場、さらにはテレビ局など。
使う場所が変われば、使い方も変わります。
実際、私たちコムラ製作所のオフィスや工場でも、さまざまな用途で活躍しています。
デスクの横に置く補助机として。
会議やプレゼンテーションでのプロジェクター台として。
製造現場でのちょっとした作業用テーブルとして。
あるいは、内線電話の置き台として。
「もう少しここに作業スペースが欲しい」
「この機器を使いやすい高さに置きたい」
そんな日常のちょっとした困りごとに、自然と応えてきた製品です。
特定の用途だけに限定されず、使う人が自由に使い方を考えられる。
使う人のアイデア次第で、さまざまな用途に応えられること。
これこそが、ミニテーブルが長く使われてきた理由の一つなのかもしれません。
50年を経て、介護の現場へ新たな展開
そんなミニテーブルが、2026年、新たな活躍の場を広げることになりました。
それが、介護レンタルに対応した「ミニサイドテーブル」です。

これまで培ってきた基本構造を活かしながら、介護の現場でもご利用いただける仕様として展開しました。
また、TAISコード(00088-000029)を取得し、介護保険における「特殊寝台付属品」としてレンタルでご利用いただける製品となりました。
50年以上前に生まれた製品が、介護という新たな分野で、改めてその価値を見出される。
なんとも面白い話だと思いませんか。
これまでと大きく変わらない構造であっても、誰に、どのような場面で、どのように届けるのか。
その視点を変えることで、製品の新たな可能性が見えてきます。
新しい製品を開発することだけが、モノづくりの挑戦ではないのだと改めて感じています。
大きなテーブルが必要とは限らない
ミニサイドテーブルをご覧になった方の中には、一般的なベッドサイドテーブルと比較して、「少し小さい」「華奢ではないか」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、大きな天板を備えたベッドサイドテーブルと比べれば、コンパクトな製品です。
しかし、そもそも私たちは、そうした製品とまったく同じ使い方を想定しているわけではありません。
例えば、ベッドの端に腰掛けて食事をされる方。
大きなテーブルは必要なく、食事を置ける程度のスペースがあれば十分という方。
お部屋のスペースをできるだけ広く使いたい方。
必要なときだけテーブルを使い、使用しないときには収納しておきたい方。
また、ベッドだけでなく、ソファや車いす、電動昇降座椅子などと組み合わせて使いたい方にも、ご活用いただけると考えています。
大きなテーブルには、大きなテーブルの良さがあります。
一方で、小さくて、軽くて、使い方を変えられることにも、別の価値があります。
すべての人に同じ製品が最適なわけではありません。
だからこそ、利用される方の生活環境や身体状況に合わせて、選択肢の一つとしてご提案できればと思っています。
高さも角度も、使う人に合わせて
ミニサイドテーブルの特長は、使う人や用途に合わせて形を変えられることです。
天板の高さは575~885mmの範囲で調整でき、ベッドサイドでの食事やちょっとした作業などに活用できます。
さらに、天板の角度も調整できます。
例えば、ベッドで過ごす時間にタブレットで動画を楽しむ。お気に入りの本を読む。
そんなときに、見やすい角度に天板を傾けられることは便利だと思います。



また、製品をご紹介する中で、興味深いご意見もいただきました。
「天板をほんの少し傾けると、お皿の中が見えやすくなって、食事をすくいやすくなるのでは?」
なるほど、そんな使い方もあるのかと感じました。
もちろん、食器の安定性や利用される方の身体状況などへの配慮は必要ですが、食事動作を支援するリハビリテーブルとしての活用にも可能性を感じています。
50年前には想定されていなかったタブレットでの動画視聴や、新たな介護・リハビリの場面にも、当時からの仕組みが役立つかもしれない。
使う人のアイデアによって、製品の可能性が広がっていくところにも、モノづくりの面白さがあります。
たためば、わずか13cm
もう一つ、ぜひ実際に見ていただきたいのが折りたたみ機構です。
使わないときには、天板と脚をコンパクトに折りたたむことができ、その厚みはわずか13cm。
家具のちょっとした隙間などにも収納できます。

普段は必要なときだけ使い、使わないときには場所を取らずにしまっておける。
生活空間をできるだけ広く使いたい方にとっても、嬉しい機能ではないでしょうか。
そして、このコンパクトさは、利用者だけでなく介護レンタル事業に携わる方々にもメリットがあります。
重量は約7kg。
折りたためば持ち運びやすく、納品や回収の際にも扱いやすいサイズになります。
また、倉庫で保管する際にも、限られたスペースを有効に使うことができます。
使う人の便利さだけでなく、届ける人、管理する人にとっての使いやすさ。
そうした視点でも、製品の良さを感じていただければと思います。
良いモノは、見てもらってこそ伝わる
今回、ミニサイドテーブルを展示会でご紹介して改めて感じたことがあります。
それは、製品の魅力は写真やカタログだけでは伝えきれないということです。
高さを変えてみる。
天板を傾けてみる。
そして、折りたたんでみる。
実際に触れて、動かしていただくことで、初めて伝わる工夫があります。
「なるほど、こういう仕組みなんですね!」
その一言をいただける瞬間は、やはり嬉しいものです。
一方で、50年以上も基本構造が変わっていない製品を、今なお新鮮に感じていただけるということは、それだけ私たちのPRが足りていなかったということでもあります。
長年、病院やオフィス、工場など、さまざまな場所で活躍してきた実績がありながら、その魅力を十分に伝えきれていなかった。
これは、メーカーとして反省すべきところです。
良いモノをつくることはもちろん大切です。
しかし、良いモノを、必要としている人に知っていただくことも、メーカーの大切な仕事なのだと思います。
50年経っても、色あせないモノづくり
昭和50年に生まれたミニテーブル。
そのルーツをたどれば、製図台の高さや角度を変える仕組みに行き着きます。
製図機器の技術を、もっと身近なところで役立てたい。
そんな発想から生まれた製品が、半世紀以上を経た今も、さまざまな場所で活躍しています。
病院、施設、オフィス、工場、教育現場、テレビ局。
そして今度は、介護レンタルという新たな活躍の場へ。
時代が変われば、暮らし方も、製品に求められる役割も変わります。
それでも、使いやすさを考え抜いたアイデアや工夫は、長く価値を持ち続けることができる。
そして、使う人の発想によって、その価値はさらに広がっていく。
ミニサイドテーブルは、そんなモノづくりの面白さを改めて教えてくれる製品だと思っています。
ぜひ一度、実物をご覧いただき、手に取って、その動きを確かめていただきたいと思います。
50年以上前のアイデアが、令和の暮らしを支える。
これからもコムラ製作所は、そんな息の長いモノづくりを大切にしていきたいと思います。


