【活用事例2】回転と昇降が、暮らしを変える
2026.02.27― 筋ジストロフィーのある女性のケース ―
肢帯型筋ジストロフィー。
日々の生活の中で、立ち上がりは常に緊張を伴う動作でした。
筋力が落ちるにつれ、
足の位置、角度、丸椅子との距離——
ほんのわずかなズレが失敗につながる。

常に集中力を張り詰めた、
綱渡りのような立ち上がり。
ある日、その綱が切れました。
右手を丸椅子につき、
膝から左手を離す——
意を決して左手を離した瞬間、
身体は支えきれず、鼻を丸椅子に強打。
「ミシッ」と音がして、折れたと思った。
幸い大事には至りませんでしたが、
その出来事は強いトラウマとなりました。
立ち上がりは“できるかどうか”ではない
翌日の訪問リハビリ。
先生が支えてくれても、左手を離す恐怖は消えません。
時には成功する。
でも、一人では挑戦できない。
その間、ベッドに座椅子を置いて食事。
味わう余裕も、くつろぐ時間もありませんでした。
制度の壁
数年前から気になっていた電動昇降座椅子。
「これがあれば、安心して座れるかもしれない。」
しかし、障がい者の日常生活用具給付の対象外。
購入すれば35万円。
介護保険では対象なのに、
障がい福祉では対象外。
納得できず、自治体へ要望を提出。
他自治体の状況を調べ、議員にも相談し、
思いを文章にして届けました。
その結果——
対象外だった昇降座椅子が、
給付対象へと覆りました。
全額ではありません。
それでも、大きな一歩でした。
導入後の変化
予想より早く届いた昇降座椅子。
設置から1週間。
最初は、回転がうまくいかず焦ることも。
肘掛けがテーブルに当たるなど、盲点もありました。
けれど少しずつ慣れ、
いまでは滑らかに回転できるように。




リハビリの先生が座ると、
同じ椅子とは思えないほどスムーズに回る。
幼い頃、まわりの子がスイスイ漕ぐ三輪車をみて不思議に思った記憶がよみがえった——
そんな小さな発見もありました。
「立つ」から「降りる」へ
いまの立ち上がりは、
立つ、というより
“降りる”感覚。
恐怖に集中する時間が減り、
動作が流れの中でつながる。
回転があることで、
立ち上がったあとに身体をひねる必要がない。
昇降があることで、
力任せに持ち上げなくていい。
立ち上がりは、
挑戦ではなく、日常になりました。
製品が変えたのは動作だけではない
めちゃくちゃ落ち込んだあの日。
でも、
諦めないこと
一人で抱えないこと
相談すること
その経験が、道を拓きました。
「いつか誰かの役に立てるなら」
そう思える今があります。
独立宣言スマートプラス
立ち上がりを助けるだけではない。
その先の動きまで整える。
転ばない椅子ではなく、
転ばない“動線”をつくる椅子。


