Columns コラム

終わりのない改良のはじまり

2026.02.17

祖父は製図台の「あるべき姿」を、
一つずつ整理し始めます。

目新しい発想ではありません。
奇抜な仕掛けを入れようとしたわけでもない。

ただ、
現場で本当に使えるかどうか。
その一点だけを基準に、
条件を洗い出していきました。

それは、
紙の上で思いつくような話ではなく、
実際に使われ、
実際に困ってきた経験からしか
生まれてこない問いでした。

一生懸命に取り組んだものの、
これがなかなか難しい。

一つの課題を解決すると、
必ず次の課題が現れる。
そうやって一つずつ積み重ねていった結果、
すべての要件が満たされるまでに、
およそ十五年から十六年という時間がかかっていきます。

グッドデザイン賞を五度受賞し、
製図台に関する特許も、
百件を超える数となります。

もっとも、
それらは目的ではなく、
結果として後から付いてきたものに過ぎないのですが。

一つ出来上がれば、さらに良いものを目指す。

製品開発の仕事には、
終わりというものがない。
祖父は、そう実感していました。

製図台だけで、
およそ百機種以上を手がけ、
非常に完成度の高い製図台に仕上げていきます。

製品ができてもなお、
これ以上の改善余地が残されていないとは、
祖父自身、考えていませんでした。

この長い製品開発の歴史の中で、
振り返ってみれば、
画期的だったと思える技術開発が
いくつもあります。

次回は、
その中でも特に転機となった
いくつかの技術的な工夫について、
お話ししていくことにします。